ワインの現場で使うデカンタの意味とは?デカンタージュすべきワインの特徴!

最終更新日:2019/10/25  

デカンタ

 

レストランによく行くあなたならソムリエがワインを大きなガラスの容器に移しているのを見たことがあるのではないでしょうか?

 

この容器を「デカンタ(デキャンタ)」と呼びます。

 

「そんな大げさにワインをデカンタに移して何の意味があるの?」

 

と思ってしまいがちですが、このひと手間でワインが激変することもある大変意味のあることなんです。

 

ぜひ、デカンタの意味と効果について理解して、デカンタすべきか判断基準を身につけましょう。

 

 

そもそもデカンタとは?カラフェとの違いは?

 

デカンタ

 

デカンタ(Decanter)とは、ワインをグラスに注ぐ前に入れる器のことをいいます。

 

主にガラスやクリスタル製で、形状はワインのタイプや目的に合わせて様々なものがあります。

 

有名なブランドは、「リーデル」「ツヴィーゼル」「バカラ」などクリスタルガラスメーカーのもの。

 

似た言葉に「カラフェ(Carafe)」があります。

 

カラフェ

 

カラフェは、水差しという意味があり、水やワインなどのピッチャーとして使われています。また、ワインを空気に触れさせるための容器という意味もあります。

 

他のサイトでは、「ワインを空気に触れさせるための容器がカラフェ。ワインの澱を取り除くための容器がデカンタ」と紹介していることもあります。

 

しかし、レストランの現場では明確な使い分けはされておらず、どちらの意味でもほぼ「デカンタ(デキャンタ)」と呼びます。

 

 

ワインをデカンタに移すデカンタージュの意味は?

 

デカンタージュ

 

ワインをデカンタに移すことをフランス語で「デカンタージュ(Décantage)」と呼びます。単に「デカンタする」と言う場合もあります。

 

では、デカンタする意味は何でしょうか?何のためにデカンタにワインを移すのでしょうか?

 

デカンタージュには、次のような意味があります。

 

 

澱を取り除く

ワイン 澱

 

熟成したワインには、澱と呼ばれる沈殿物が底に溜まってきます。その澱を取り除くためにワインをデカンタに移します。

 

デカンタージュをしないと、ワインを注ぐ時に澱が舞ってしまい、グラスに入ってしまう恐れがあるからです。

 

 

空気接触によって香りや味わいに変化を与える

デカンタージュ 空気接触

 

デカンタージュによってワインを空気に触れさせることで、ワインの香りや味わいに変化が生じます。具体的に次のような変化が起こります。

 

 

 

還元状態や醸造の過程で生じる香りが軽減され、本来のブドウや熟成による複雑なアロマを感じやすくなる

 

アルコールが若干揮発されることにより、隠れていた果実の香りや味わいを楽しめるようになる

 

タンニンがワインに馴染むことで、角が取れて渋みが穏やかに感じられる

 

 

 

つまり、デカンタージュには、香りをより高く複雑に、味わいもよりバランスよく仕上げる意味があります。

 

ただし、全てのワインにこのような変化が起こるわけではなく、デカンタージュしない方が良いワインもあります(詳細は後半で)。

 

 

ワインの温度を上昇させる

ワイン 温度

 

ワインを冷やし過ぎてしまいなるべく早くワインの温度を上げたいとき、デカンタすることでワインの温度を上げることができます。

 

ワインを楽しむ上で、ワインの温度はとても重要です。温度によってワインの味や香りの感じ方も違います。その温度をコントロールする意味でデカンタを使うこともできるんです。

 

 

ボトル上下間の味わいを均一化させる

デカンタ

 

ワインをボトルからグラスに直接注いで楽しむ場合、厳密に言うとワインの味はボトル上下で違います。上部は淡く、下部はより濃い印象です。

 

特に熟成の進んだ赤ワインは顕著です。

 

二人でゆっくり変化を楽しむ分には問題ありませんが、グループで均等に注ぎたい場合はデカンタージュすることによって各グラスに味わいの偏りがない正確なサーブができます。

 

 

デモンストレーション

デカンタ-ジュ 演出

 

ワインを楽しむとき、その空間の雰囲気によって美味しさが変わることってありますよね。

 

例えば、レストランでソムリエにデカンタージュをしてもらって飲むと、テーブルはより華やかになり、贅沢な気分でワインを楽しむことができます。

 

デカンタージュには、そういったテーブルを演出する意味もあります。

 

 

ワインをデカンタすべき、しないべき?その判断基準とは?

 

以上のように、適した場面でデカンタすることでワインをより美味しく味わうことができます。

 

ただし、全てのワインが良い方向に変化するわけではなりません。デカンタしない方が良いワインもあります。

 

それでは、デカンタすべきワインとすべきでないワインの特徴を見てみましょう。

 

 

デカンタすべきワイン

 

熟成 ワイン

 

熟成によって澱が非常に多いワイン

澱を取り除くことで、ワインの味わいが安定する。

 

 

アルコール度数が高めで味わいが非常に濃いワイン

デカンタージュすることで、アルコールが若干揮発され、アルコール感が和らぎバランスが良くなります。

 

 

タンニンの量が多く、渋みが気になるワイン

タンニンはより柔らかく、渋みも穏やかに感じられるようになる。

 

 

香りのボリュームが少ないと感じるワイン

デカンタすることで、香りが急激に上がってくる場合があります。ただし、変化がない場合もあり、ワインのポテンシャルを見極める必要があります。ソムリエがいる場合は相談しましょう。

 

 

デカンタージュすべきでないワイン

 

ライトボディ 赤ワイン

 

既に香りが開いていて味わいのバランスが良いワイン

デカンタージュすることで、その香りのボリュームが落ち、味わいもバランスが崩れる恐れがあります。

 

 

軽口のワイン

もともとミディアムからライトボディよりのワインは、デカンタすることでより軽い印象に感じるようになります。味見して、これ以上ワインのボリュームを落としたくないと感じたらデカンタは避けた方が良いでしょう。

 

 

すぐに飲みたい場合

デカンタするときは、デカンタージュ後にワインを落ち着かせる時間を取る必要があります。なぜなら、デカンタージュによってワインにダメージを与えることにより、香りが一時的に閉じてしまうからです。通常、デカンタージュした30分後から急激に香りが開いてきます。最低30分はワインをデカンタ内に落ち着かせる時間を取りましょう。

 

 

ワインのデカンタージュの判断は人それぞれ

 

デカンタ

 

以上、ワインをデカンタの意味やデカンタージュするかしないかを判断するポイントについてご紹介してきました。

 

ただし、デカンタするしないの判断には正解はなく、飲み手の好みによるところがあります。

 

例えば、シャンパンや白ワインをデカンタージュして楽しむ人もいますし、非常にタニックで濃厚なワインでもデカンタしたくない人はいます。

 

飲み手がどんな楽しみ方をしたいか、どんな味わいが好きかによって変わってきます。

 

ワインはとても繊細な飲み物です。

 

デカンタに移した後の時間経過によって香りや味わいはどんどん変化していきます。

 

発展することもあれば、衰えてしまうこともあります。

 

ぜひワインを楽しむさまざまな場面でデカンタを試してみて、あなたの好みに合った使い方を見つけてみてください。