自然派ワインとは?「ビオワイン」「オーガニックワイン」との違いとは?

最終更新日:2018/11/07  

ナチュラルワイン

 

あなたは「自然派ワイン」という言葉を聞いたことがありますか?

 

フランス語では、「Vin Nature(ヴァン・ナチュール)」

 

英語では、「Natural Wine(ナチュラル・ワイン)」

 

基本的にどの呼び方でも意味は同じです(以下「自然派ワイン」と呼んでいきます)。

 

さて、この「自然派ワイン」とは一体何なのでしょうか?

 

実は、この言葉に定義はありません。

 

お店によっては「これがナチュラル?自然派?」と思うような、ただのセールスのキーワードとして使われることもあります。

 

それほど、いま「ナチュラル」「自然派」という言葉が人の関心を集めるワードであるということでしょう。

 

ここ数年、ブームとも思えるほど自然派ワインを売りにした専門店や飲食店が増えています。

 

そこでこの記事では、「自然派ワインとは何なのか?」

 

一般的にワイン業界で認識されているその定義について考えます。

 

 

自然派ワインの定義

 

先程、自然派ワインには定義はないと書きました。

 

でも、一般的に認識されている条件はあります。

 

それは、次の2点です。

 

●原料となるブドウは農薬や化学肥料を使わない自然な栽培である

●醸造は、人為的、化学的に限りなく手を加えずに造る

 

これが「自然派ワイン」と呼べる条件と認識されています。

 

では、それぞれ条件を詳しく見ていきましょう。

 

 

自然な栽培とは?

 

ブドウの栽培方法はさまざまですが、自然派ワインに関係する3つの栽培方法を大まかに理解しましょう。

 

ビオロジック農法

化学肥料や農薬を使わない農法。有機農法とほぼ同義ですが、有機肥料を使わない生産者もいます。病虫害予防に、硫黄や銅など自然に存在する物質を使うことは認められています。

 

ビオディナミ農法

月の満ち欠けをベースにした暦「太陰暦」に沿って農作物の栽培を行います化学肥料や農薬は使いません。代わりに、鉱石や植物で作った「プレパラシオン」と呼ばれる調剤を使います。例えば、牛の角に水晶を詰めたり、牛の腸に植物を詰めたもの。これを月の運行に合わせて畑に撒きます。そのプレパラシオンから生まれたエネルギーによって、ブドウや畑の土の生命力が高まるとされています。科学的農法というより、哲学的なスピリチュアルな農法です。しかし、この農法を行う自然派ワインの造り手は多いです。

 

リュット・レゾネ

化学肥料や除草剤は使いませんが、ブドウが病気にかかるなどした場合に少量の農薬を使用します。「リュット・レゾネ」のブドウを使ったワインを自然派と呼ぶかどうかは両論あります。対処療法的に少量使うのは問題ないという意見もあります。

 

 

このように、ブドウの栽培方法に関しても自然派ワインの定義は曖昧です。

 

しかし、基本的には「化学肥料や農薬を使わない農法」というのが今の一般の認識です。

 

 

人為的な介入を避ける醸造とは?

 

自然派ワインと呼ぶにふさわしいワインは、ブドウの栽培以外にワインの醸造に関しても自然な造りである必要があります。

 

具体的には次の3点が挙げられます。

 

野生酵母を使う

発酵は野生酵母を使います。野生酵母とは、ブドウの皮や畑、醸造セラーなどの住み着いている天然の自然酵母

通常は、安定した醸造を行うため培養酵母を使うことが多いです。しかし、自然派ワインは天然の野生酵母によって、ゆっくりとブドウのペースで発酵が行われます。そして、この自然な発酵を上手く行うためには、健全なブドウや畑環境である必要があるので、栽培は当然ケミカルフリーである必要があります。

 

亜硫酸不使用、あるいは最小限の使用

あなたも「酸化防止剤未使用」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。亜硫酸とはワインの酸化防止剤として認識されています。しかし、亜硫酸は酸化防止以外にも殺菌作用や発酵を安定させる働きがあります。ですので、亜硫酸不使用ということは、醸造に失敗するリスクも高まります。つまり、亜硫酸を使わない醸造は、一年間丁寧に育ててきたブドウをすべてダメにしてしまう可能性のある大変リスキーな作業であり、生産者の強い意志や感性、技術が必要になります。ちなみに、コンビニで売られている酸化防止剤未使用ワインは、醸造過程で加熱殺菌して仕上げたものなので自然派ワインとは造り方も品質も全く異なります。

 

無濾過・無清澄

自然派ワインは色が少し濁っているものがよくあります。これは、通常のワインで行っている濁りの原因である澱を除去する作業を行わないためです。理由は、この澱を除去する作業によって、ワインが酸化してしまったり、そのワインが個性が平たくになることを避けるためです。しかし、近年は技術の発達で、酸化しにくい方法で澱を除去しクリアなワインに仕上げる生産者もいます。

 

 

このように、自然派ワインの醸造では、ブドウが持つ力のみで自然に発酵させます。

 

そして、最後まで人の手を極力加えず、飾り気のないブドウ本来の魅力を表現します。

 

 

「自然派」「ビオ」「オーガニック」言葉の定義は曖昧

 

以上、自然派ワインとは、ブドウの栽培で農薬や化学肥料を使わないことに加え、野生酵母での自然な発酵や亜硫酸の添加を極力行わないなど、人為的な介入を極力避けたワインと言えるでしょう。

 

ところで、「ビオワイン」「オーガニックワイン」という言葉もよく聞きますよね?

 

一体なにが違うのでしょうか?

 

実は、これまた定義はありません。

 

確かなのは、EUが規定するオーガニック認証制度や各国が定めた有機認証制度があることぐらいです(日本には有機JAS認証がありますよね)。

 

もちろん、それぞれの認証制度の厳しさの基準も違います。

 

そして、この認証を取得しているから「自然派ワイン」や「ビオワイン」と呼ぶという定義はないんです。

 

ただし、業界での共通感覚で言うと「自然派ワイン」「ナチュラルワイン」「ヴァンナチュール」と呼ばれているワインは、「ビオ」や「オーガニック」よりも、より自然な造りをしていて、さらにそれを感じられるワインを指しています(定義はないので、もちろん解釈は人それぞれです)。

 

自然派ワインは、栽培だけでなく、醸造も徹底的に自然な造りにこだわったワイン

 

そして、そのブドウや畑の環境が持つ本来の魅力がストレートに飾り気なく感じられるワインがナチュラルであり自然派であると思います。

 

さらに言うと、味わいが共通して「やさしい」です。

 

曖昧な表現ですが(笑)、香り、口当たり、味わいがどれも柔らかくやさしいのです。

 

飾ったニュアンスは感じず、みずみずしくてブドウのエキスがストレートに感じられるナチュラルさがあります。

 

造り手の体温も感るような温もりがあります。

 

結論として、自然派ワインであるかどうかは、本人の感覚が決定するものであると思います。

 

 

 

これからは自然派ワインが当たり前になる?

 

現在、自然派ワインは通常のワインとは違う一つのカテゴリーとして認識されている感があります。

 

しかし、今後は科学技術の進歩や嗜好の変化とともに、高級ワインをはじめ多くのワインが自然派に近づいてくるでしょう。

 

そうすると、ワインが自然なつくりなのは当たり前になり、「ナチュラル」「自然派」という言葉自体がなくなるかもしれませんね。

 

 

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