最終更新日:2021/03/09
この記事では、ヴェルデホ (Verdejo)の特徴や生産地、料理との相性など知っているとより楽しめる情報を解説します。
ヴェルデホは、スペイン内陸部ルエダ(Rueda)で古くから栽培されている白ブドウ品種です。一説によると、ヴェルデホは北アフリカで誕生し、11世紀にモサラベによってルエダの地に広められたとされています。
ルエダでは、伝統的にパロミノやヴェルデホを使って酸化熟成タイプのシェリーのようなお酒が多く造られていました。
しかし、1970年代にリオハの大手ワイナリー「マルケス・デ・リスカル」がルエダに白ワインの生産拠点を移したことを契機に、新しい醸造技術を使ったフレッシュなスタイルのヴェルデホ主体の白ワインが造られ始め、一躍ヴェルデホは人気のブドウ品種となりました。
現在ルエダはスペインの辛口白ワインを代表する産地となっています。
ヴェルデホの名前は、スペイン語で緑を意味する「verde(ヴェルデ)」に由来し、ヴェルデホの緑色の果皮から来ているとされています。
近年のDNA解析によって、ヴェルデホはスペイン北西部の土着品種ゴデーリョ(Godello)と兄弟関係にあると推測されています。
ヴェルデホのワインは柑橘系の爽やかな香りに骨格のしっかりした引き締まった味わいが特徴です。
・ライム、グレープフルーツ、メロン、白桃
・フェンネル、ローリエ ・アーモンド
柑橘やハーブを思わせるような爽やかな香りが主体で、そこに桃のような甘いニュアンスが重なります。
熟成によってアーモンドのようなナッツの香りも感じられます。
・中程度のボディでドライ
・フレッシュで豊かな酸味
・柑橘の皮やアーモンドのようなフレーバーと苦味
ボディはありますがドライで引き締まった味わいです。
柑橘とともにアーモンド系のナッティな風味が感じられます。
後半もやや強めの苦味がドライな印象をより増加させます。
ヴェルデホの生産地はほぼスペインに集中しています。
スペインでのヴェルデホの生産量は22,325haで国内の白ブドウで4番目に多く生産されています (2019発表)。
スペイン内でのヴェルデホの産地は内陸部が中心で、ルエダのあるカスティーリャ・イ・レオン州やカスティーリャ・ラ・マンチャ州で積極的に栽培されています。
ルエダはヴェルデホワインの最も有名な産地です。
ルエダの気候は、昼夜の寒暖差が激しい典型的な大陸性気候で、年間降水量は300~500mmと少なくとても乾燥した環境です。
ヴェルデホは厳しい気候や乾燥した土地でも良く育ちルエダの昼夜の寒暖差が上質なワインを生みます。
ルエダの白ワインは多くがヴェルデホ単一か主体のワインで、ソーヴィニヨン・ブラン、ヴィウラ、パロミノとブレンドされることもあります。
ちなみに白ワインで「ルエダ(Rueda D.O.)」を名乗るにはヴェルデホを50%以上使用する必要があり、「ルエダ・ヴェルデホ」になるとは85%以上ヴェルデホを使うことが義務付けられています。
また、ルエダでは白ワインの他、ヴェルデホを使ったスパークリングワインや酒精強化ワインも製造されています。
ヴェルデホのワインは、口の中がサッパリするような酸と苦味が特徴です。
それゆえ、揚げ物やほのかな苦味のある料理におすすめです。
スペイン料理に欠かせないオリーブオイルとも好相性で、アヒージョやパエリアなどスペインのバル料理に幅広く合わせられます。
魚全般との相性も良く、オリーブオイルやハーブを効かせた魚料理によく合います。
熟成によってナッツのフレーバーが出たタイプにはイベリコ豚の生ハムとの相性もおすすめです。
合わせる料理に関わらずキリリとドライで芳ばしい白ワインが飲みたいときにおすすめなブドウ品種です。
参考
・Wine Grapes: A Complete Guide to 1,368 Vine Varieties, Including Their Origins and Flavours / Jancis Robinson
・日本ソムリエ協会教本 2020