最終更新日:2021/03/09
「Volatile Acid (揮発酸)」の略です。
揮発酸とは常温常圧で揮発する酸のことで、揮発することで香りとして知覚されます。
ワイン含まれる揮発酸は主に酢酸です。酢酸はお酢の主成分でもあります。
酢酸は、酵母のアルコール発酵などでも少量生成されますが、多くは酢酸菌の酵素の働きでアルコールが分解され生成されます。つまり、お酢ができる仕組みと同じです。
ワインに酢酸を生み出す酢酸菌は、以下のような環境を好みます。
・酸素がある(酸素がないと生存できない)
・30~40℃の温度
・低い酸 (pH 3.5-4.0)
・低いアルコール濃度
・亜硫酸の添加が無い
このように、好気的環境(酸素に触れる環境)で熟成されたり、衛生や温度管理を怠ったり、亜硫酸添加が少ないワインなどでVAが生じやすくなります。
ワインに含まれるVA濃度が高いとセメダインや除光液、お酢のような香りが感じられ、その度合いが強いと本来のワインの香りを阻害するオフフレーバーとなります。このセメダインのような香りは、酢酸とエタノールが反応して生成された「酢酸エチル(Ethyl Acetate)」というエステル(香り物質)に由来します。
EUではワインに含まれるVA量に上限があり、赤ワインでは1.2 g/l、白・ロゼワインでは1.08 g/lを超えてはいけません。
ワインのスタイルにもよりますが0.8 g/lほどで上記のようなVAの香りが知覚されると言われています。
参考
・The Oxford Companion to Wine / Jancis Robinson