澱引き(スーティラージュ)

最終更新日:2021/03/22  

 

澱引きは、発酵が終了したワインを静置して浮遊物を沈殿させたのち、その沈殿物を取り除くために上澄みを別の容器に移し替える作業を指します。澱引きは、フランス語で「スーティラージュ(Soutirage)」、英語で「ラッキング(Racking)」と言います。

 

発酵が終わったばかりのワインを静置すると、ブドウ由来の多糖類(ペクチン)、酒石、フェノール類、タンパク質、活動を終えた酵母などがタンクや樽の底に沈殿します。これら沈殿物を「澱(おり)」と呼び、その澱を取り除く作業が澱引きです。

 

澱引きは、ワインの清澄に加え、熟成中のワインに酸素を供給する効果もあります。それによって、タンニンの重合が進み色味が安定し収斂味が穏やかになったり、還元状態による硫化水素(還元臭)の発生を抑えます。

 

澱引きは、ワインの貯蔵熟成中に複数回行われます。赤ワインの場合は定期的な澱引きによってある程度の透明度は得られますが、特に濁りが目立ちやすい白ワインの多くは、その後に清澄剤を使った澱下げや濾過を行います

 

 

参考

・日本ソムリエ協会教本 2020

・The Oxford Companion to Wine / Jancis Robinson