最終更新日:2021/03/07
あなたはスクリューキャップのワインにどのようなイメージをお持ちですか?
「スクリューキャップ=安ワイン」というイメージを持ちがちですが、決してそうではありません。
高級ワインにもスクリューキャップが採用されるケースも増えてきました。
そこで、スクリューキャップは他のワイン栓よりも何が優れているのか、スクリューキャップのメリットについて整理します。
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私たちがスクリューキャップに最も感じるメリットは、抜栓が簡単なことでしょう。
ワインオープナーを使わずに、まるでペットボトルのドリンクを開けるかのごとく簡単に素早く抜栓ができます。
一方、コルク栓の抜栓はテクニックが必要です。
特に熟成の進んだコルクは脆く、抜栓中に折れてしまったり、粉々になってコルク屑がワインに入ってしまったり失敗のリスクもあります。
せっかく人を喜ばせようと高価なワインを買ったのに、抜栓で失敗してしまうのは悲しすぎますよね。
そんなリスクが一切なく、飲み手に優しい点がスクリューキャップの一番のメリットでしょう。
コルク栓の大きな欠点として、「ブショネ」と言われるコルクによるワイン汚染が挙げられます。
ブショネは、コルクに含まれるTCA(トリクロロアニソール)という物質が原因で起こります。そして、そのTCAに侵されたコルクの確率は100本中3~8本とも言われています。
現在はTCAフリーのコルクが開発されたりコルク自体の品質は上がっていますが、ブショネのリスクはゼロではありません。
その点スクリューキャップであれは、ワイン栓によってTCAに汚染される心配はありません。
コルクのワインを長期間保管するときは、ボトルを寝かせる必要があります。
それは、コルクが乾燥して弾力を失い劣化することで、ワインの酸化が進んだり、抜栓時にコルクがボロボロになったりするリスクを避けるためです。
これがスクリューキャップであれば、コルクの劣化を心配する必要がないため、立てて保管しても問題はありません。
また、ワインの保存環境として、においの強い場所はNGとされています。
それは、コルクを介してワインににおいが移ると言われているからです。
この点も、スクリューキャップであれば気にする必要はありません。
収納や管理が楽なのもスクリューキャップの大きなメリットです。
スクリューキャップは、コルクよりも気密性が高いため、酸化熟成によって深みを増す赤ワインの長期熟成には向かないと言われていました。
しかし、「赤ワインの適正な熟成は、ワイン中に溶け込んだ酸素と、瓶内の隙間にある酸素で十分」という意見もあります。
酸欠状態で生じる還元臭も、スクリューキャップとコルクで生じる確率は変わらないというデータも。
また、20~30年で劣化したコルクを差しなおすリコルクや、コルクを通して水分が蒸発することで起こる目減りの心配もありません。
ただし、スクリューキャップワインの熟成変化やスクリューキャップの耐久性に関しては、実際に何十年も熟成させたワインで比較した実証も少ないため、議論は分かれています。
以上のように、スクリューキャップには多くのメリットがあります。
しかし、コルクに比べてスクリューキャップの歴史はまだ浅すぎます。
本当にワインの熟成に向いているのかなど、スクリューキャップに対して懐疑的な生産者や消費者はいまだ多いのです。
それに、スクリューキャップのワインはどうしても安価なワインに見られがちです。
そういったスクリューキャップに対するマイナスイメージをどう払拭していくかが課題でしょう。
コルク栓の高品質化やグラスストッパーなど他素材のワイン栓も増える中、ワイン栓のシェアが今後どのように変化していくのか興味深いところです。