最終更新日:2021/03/09
スッキリかつ華やかな白ワインが好きなあなたには、ソーヴィニヨン・ブランのワインをおすすめします。
では一体、ソーヴィニヨン・ブランとはどんなブドウ品種なのか特徴や産地、料理との相性まで徹底解説します。
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ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)は、フランス・ロワール地方が原産の白ブドウ品種とされています 。
起源に関しては、フランス・ボルドー地方という説もありますが、ボルドーの記録(1710~1720年)よりも200年ほど前(1534年)に「fiers」という昔のシノニムでの記録が残っているとのこと。
現在もボルドー地方とロワール地方はソーヴィニヨン・ブランの名産地ですが、ニュージーランドを始め、世界的にも広く栽培されています。
ソーヴィニヨン・ブランは、フランスの一部地域で「ブラン・フュメ(Blanc Fumé)」、カリフォルニアでは「フュメ・ブラン(Fumé Blanc)」と呼ばれることもあります。
また、ソーヴィニョン・ブランの色調突然変異のクローンも存在し、グリブドウの「ソーヴィニヨン・グリ」と黒ブドウの「ソーヴィニヨン・ルージュ」もフランス・ロワール地方で少量栽培されています。
ソーヴィニヨン・ブランのワインの特徴を一言で言うと、キレのある酸味と華やかな香りの清涼感あふれる白ワインです。
・比較的淡い色調
・グリーンがかったイエローが基本色
温暖な産地のソーヴィニヨン・ブランはより黄色みが濃くなります。
・柑橘フルーツ (レモン、ライム、グレープフルーツ)
・トロピカルフルーツ (パッションフルーツ・マンゴー・桃)
・フレッシュハーブ
・鉱物 (火打石、石灰)
ソーヴィニヨン・ブランのワインの香りは、産地によって個性が異なります。
フランスのロワール地方など冷涼地域のワインは、柑橘系のフルーツをベースに石灰などの鉱物的なニュアンスが感じられます。
一方で、ニュージーランドやカリフォルニアなど温暖な地域のソーヴィニヨン・ブランは、トロピカル系の甘い華やかなフルーツ香が強く感じられます。
また、ソーヴィニヨン・ブランは成熟度が低いとハーブ系の青い香り強く出る特性があり、かつてはそれが品種の個性と言われていました。
しかし近年は、栽培や醸造の技術が進み、冷涼産地のワインでも際立って青臭さを感じるものは少なくなりました。
現在は、冷涼なフランス・ロワール地方のワインにも甘いトロピカルフルーツの香りが綺麗に表れたものも少なくありません。
気候の寒暖に関わらず、基本的にシャープな尖った酸味が特徴です。
アルコール度数は低めのワインが多いですが、温暖な地域であるほどアルコールや果実味が強くパワフルな印象になります。
後味には、グレープフルーツの内皮のようなほろ苦味を感じるのもソーヴィニヨン・ブランの特徴です。
ソーヴィニヨン・ブランは世界中で栽培されていますが、特に押さえておきたい名産地をご紹介します。
フランス・ロワール地方は、ソーヴィニヨン・ブラン100%の辛口白ワインの銘醸地です。
特に「Pouilly Fumé(プイィ・フュメ)」「Sancerre(サンセール)」村のソーヴィニヨン・ブランの品質は世界最高峰です。
特徴はキレのある酸味と強いミネラル感。
さらに畑の格が上がるほど、強い酸は残しつつ果実の凝縮感と鉱物的なニュアンスが増してきます。
硬質的な味わいに複雑で華やかな香りが上品に感じられます。
ボルドーの白ワインは、ソーヴィニヨン・ブラン100%ではなく、セミヨンなど他品種とブレンドする方が主流です。
さらに、新樽で発酵熟成させることで樽由来のヴァニラのような香りがあります。
味わいは、ロワールのものよりコクを感じます。
ソーヴィニヨン・ブラン由来のスッキリした酸を残しつつ、セミヨンなど他品種をブレンドすることで味に膨らみと奥行きがプラスされています。
ニュージーランドは国を挙げてソーヴィニヨン・ブランの栽培を進めています。
まだ歴史は浅いですが、生産量、品質共にの著しい上昇を続けています。
ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランは、パッションフルーツやマンゴーなどトロピカル系の甘く熟したフルーツの香りがより全面にでてきます。
味わいもたっぷりとした果実味を感じるフルーティな印象です。
他にもオーストラリアやカリフォルニア、チリ、アルゼンチンなどで多く栽培されています。
特に冷涼地域で高品質なソーヴィニヨン・ブランが栽培されています。
ソーヴィニヨン・ブランの白ワインは、比較的軽やかな味わいが多いため、料理も前菜などの軽めのものが好相性です。
また、ワインの香りに感じるハーブなどグリーン系の香りと調和させる食べ合わせもあります。
例えば、以下のような料理と合わせてみてはいかがでしょうか?
品種特有のハーブや柑橘のフレーバーとよく合います。王道の組み合わせです。
オリーブオイルの若草のようなすがすがしいグリーンノートがソーヴィニヨン・ブランの香りとマッチします。
バター料理にはシャルドネ、オリーブオイルにはソーヴィニヨン・ブランと言い切っても間違いではないでしょう。
フランス・ロワール地方は、シェーブルチーズの一大産地でもあります。
シェーブルチーズは、ハーブと相性がよく、酸味も強いチーズなため同郷のソーヴィニヨン・ブランと合わせるのは王道です。
ソーヴィニヨン・ブランのグリーンの香りとアスパラなどの青苦系の風味はもちろん好相性。
また、春野菜の後味の苦味がワインの個性と重なり調和します。
特にニュージーランド産のソーヴィニヨン・ブランのように甘やかな果実味を感じるタイプは、食後にデザートとともにさっぱり楽しむのもおすすめです。
特にワインの香りと同系のグレープフルーツやパッションフルーツ、マンゴーなどの軽いデザートと好相性。
ソーヴィニヨン・ブランのワインは、一言で言うと「スッキリした白ワイン」です。
しかし、これまで見てきたようにスッキリだけでなく、とても華やかで魅惑的な香りがあります。
スッキリしていながらも、口いっぱいに華やかなフルーツの香りが広がります。
産地による個性の違いも大変魅力的です。
サラッとしていてゴクゴク飲みたいようのものから、フランス・ロワール地方やボルドー地方の上質なソーヴィニヨン・ブランのように、ゆっくり味わって飲みたいものもあります。
ぜひいろいろな産地や格のソーヴィニヨン・ブランを味わってその魅力を見つけてみてください。
参考
・Wine Grapes: A Complete Guide to 1,368 Vine Varieties, Including Their Origins and Flavours / Jancis Robinson