プリミティーヴォ (ジンファンデル)

最終更新日:2021/03/09  

 

もし濃いめの赤ワインがお好きならプリミティーヴォ (ジンファンデル)はいかがでしょうか。

 

マニアックなファンも意外と多い独特の個性を持つ黒ブドウ品種です。

 

この記事では、プリミティーヴォの特徴や生産地、料理との相性など知っておきたい知識をご紹介します。

 

プリミティーヴォとはどんなブドウ?

 

プリミティーヴォはクロアチア原産の黒ブドウ品種です。

 

プリミティーヴォ(Primitivo)という名前は、ラテン語の「Primativus (最初の)」に由来し、他のブドウよりも早熟だったことから名付けられています。

 

プリミティーヴォは、イタリア南部のプーリア州で長く栽培が確認されており(最初の記録は1799年)、長らくこの地域の土着品種とされていました。

 

しかし2000年に入ってからDNA鑑定によって、クロアチア南部ダルマチア地方の土着品種「トリビドラグ(Tribidrag)」「ツェリエナック・カシュテランスキ(Crljenak Kaštelanski)」と同種であることが確認されました。

 

それによって現在は、プリミティーヴォはクロアチアからアドリア海を経てイタリア・プーリア州に伝わったという説が最も有力です。

 

プリミティーヴォはその後アメリカにも伝わり、現地では「ジンファンデル(Zinfandel)」と呼ばれています。

 

現在、プリミティーヴォ (ジンファンデル)は南イタリアとアメリカ・カリフォルニア州で主に栽培されています。

 

 

プリミティーヴォのワインの特徴

 

プリミティーヴォのワインは、色が濃くフルーティかつボディのしっかりした味わいが特徴です。

 

 

プリミティーヴォの外観

・中程度から濃いめの色調

・純度の高い赤で、オレンジの色味が出やすい

 

基本濃い色調ですが、黒みを帯びるほど濃いものは比較的少ないです。

 

色調は、紫よりも赤の印象が強く、特にイタリア・プーリア州のプリミティーヴォはオレンジのニュアンスが強く表れます。

 

 

プリミティーヴォの香り

・黒果実 (ブラックチェリー、ブラックベリー、プラム)

・ジャム (イチゴ、ラズベリー)  ・ドライフルーツ

・スパイス (リコリス、シナモン、リンドウの根)

・なめし革

 

香りには、チェリー系のフルーツにジャムやスイートスパイスの甘い香りが強く感じられます。

 

また、コーラやスーズリキュールのような独特なスパイスのニュアンスもこの品種の特徴的な香りです。

 

プリミティーヴォは、ひとつの房になる粒のサイズ、成熟度にバラつきが生じやすく、過熟の粒からくるドライフルーツの香りも感じられやすい傾向があります。

 

 

プリミティーヴォの味わい

・高いアルコールと自然な甘み

・果実味豊かな膨らみのある味わい

・タンニンの量は中程度で柔らかな触感

 

アルコール度数は15%近いものもあり平均的に高めで、甘みも感じられやすいのが特徴です。

 

しかし、プリミティーヴォワインの多くは、強いヴォリューム感がありながらも、適度な酸と濃すぎないタンニンによって親しみやすさも感じられます

 

特にカリフォルニアのジンファンデルは、そのようなアルコールのパンチはありながら、ジューシーでチャーミングな面も持ち合わせたところが特徴とも言えます。

 

 

プリミティーヴォの生産地とスタイルの特徴

 

上述の通り、プリミティーヴォはクロアチアが原産地ですが、現在の主要産地は南イタリアとアメリカ・カリフォルニア州です。

 

以下、各産地についてより詳しく解説します。

 

 

南イタリア・プーリア州

プーリア州

 

プリミティーヴォが最も長く盛んに栽培されているのが、イタリア南部のプーリア州です。

 

イタリアのブーツの形のちょうど踵の部分に位置します。

プーリア州

 

夏は暑く乾燥する地中海性気候で、起伏の少ない平坦な土地にブドウやオリーブの栽培地が広がっています。

 

プーリア州のプリミティーヴォワインは他の産地よりも凝縮感や複雑さが強い傾向があります。

 

甘苦系スパイスや凝縮したドライフルーツやプラム、酸化熟成からくるなめし革のような印象も感じられます。

 

特に「プリミティーヴォ・ディ・マンドゥリア(Primitivo di Manduria )」というDOCワインは、よりアルコールが強くタンニンも濃く力強い味わいです。

 

また、プーリア州では「プリミティーヴォ・ディ・マンドゥリア・ドルチェ・ナトゥラーレ」というDOCGワインもあり、半干しして糖度を高めたプリミティーヴォから高アルコールの甘口ワインが造られています。

 

 

アメリカ・カリフォルニア州

 

プリミティーヴォは、アメリカにも伝わり「ジンファンデル(Zinfandel)」という品種名で栽培されています。

 

アメリカではかつてブームになるほどの人気で、日本でもアメリカでの生活経験が長い人ほどジンファンデル好きが多いと個人的に感じています。

 

ジンファンデルは、1820年代にオーストリア経由で無名の品種としてアメリカに持ち込まれたとされ、1829年にはアメリカの苗木屋のカタログにジンファンデルの名が記されています。

 

アメリカではカリフォルニア州がジンファンデルの最大の産地であり、その栽培面積は黒ブドウの品種別で第3位(2018年)、イタリアの栽培面積を上回ります。

 

南イタリアのプリミティーヴォと比較すると、より華やかさと甘いジャムの香りが強く、味わいにはきめ細かいタンニンからくる柔らかくジューシーな印象があります。

 

また、カリフォルニアのジンファンデルは、プティ・シラー、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨンなど他の品種とブレンドしたワインも多く見られます。

 

ちなみに、ジンファンデルがイタリアのプリミティーヴォと同じ品種であると確認されたのは意外と最近の話です。

 

かつては、アメリカで全く別品種として認識されていましたが、1970年代にイタリアのプリミティーヴォとの同品種の可能性が指摘され大きなニュースとなりました。

 

その後20年以上その論争は続き、ついに1994年に正確なDNA鑑定により同品種と定義されました。

 

 

プリミティーヴォに合う料理(相性・食べ合わせ)

 

プリミティーヴォ(ジンファンデル)は、甘い香りのヴォリューム感のある赤ワインで、特に肉やチーズとの相性がおすすめです。

 

また、南イタリアのプーリア州で長く栽培されていることから、同産地で有名なトマト、オリーブ、モッツァレラチーズや羊のチーズもよく合います。

 

それらをたっぷり使ったパスタやピザは間違いない組み合わせです。

 

肉料理なら、甘くスパイシーな香りに合わせてバーベキューを甘辛ソースで楽しんだり、タンニンの柔らかさと調和するハンバーグや煮込み料理も良いでしょう。

 

香りにチャーミングなチェリーやコーラのようなニュアンスもあるため、手の込んだ高級料理よりもカジュアルな家庭料理の方がよく合います (もちろん例外もあります)。

 

 

日常の食事に馴染みやすいブドウ品種

 

このように、プリミティーヴォは、普段の生活でよく食べるパスタやピザ、ハンバーグなどにもとてもよく合います。

 

そういう意味で、プリミティーヴォは日常に大変馴染みやすいブドウ品種とも言えます。

 

価格帯は低めで品質も安定しており、他の品種よりもコストパフォーマンスを高く感じられるものが多いです。

 

コスパの良い濃いめの赤ワインで迷ったら、ぜひプリミティーヴォやジンファンデルの名前を探してみてください。

 

 

参考

・Wine Grapes: A Complete Guide to 1,368 Vine Varieties, Including Their Origins and Flavours  / Jancis Robinson

・日本ソムリエ協会教本 2020