最終更新日:2021/03/09
この記事では、ピノタージュ (Pinotage)の特徴や生産地、料理との相性など知っているとより楽しめる情報を解説します。
ピノタージュは南アフリカ原産の黒ブドウ品種です。
1925年にステレンボッシュ大学のアブラハム・ぺロード博士によってピノ・ノワールとサンソーの交配種が誕生しました。ピノタージュと表記された最初のワインは1961年(1959年ヴィンテージ)にランゼラック(Lanzerac)社によってリリースされています。
ピノタージュの名前は、両親のピノ・ノワールとエルミタージュ(サンソーの当時現地での呼び名)の名前を取って付けられています。
ピノタージュの最大の産地は南アフリカで、国内の黒ブドウで3番目に多く栽培されています。
このほか、ブラジル、ニュージーランド、カリフォルニアなどで少量生産されています。
ピノタージュは、樹勢が強く多産性、糖度が上がりやすい特性があります。
それゆえ、高品質のワインを生むには収量制限も必要になります。
小粒で果皮は厚く、色素やタンニンが豊かなワインを生みます。
また、かつては除光液のような不快な香りが出やすい品種と言われていました。これは、ブドウ樹の水ストレスや高い気温下での収穫、高温での発酵などが原因と指摘されています。
ピノタージュは、収量制限や醸造条件の違いなどによってワインのスタイルには幅があります。
軽やかで甘い赤系果実を思わせるチャーミングなタイプから黒系果実の香りでより凝縮したリッチでスパイシーなタイプもあります。
以下、多くのワインで感じられる特徴を記します。
・ラズベリー、ブラックベリー、ブラックチェリー、プラム
・クローヴ、リコリス、胡椒
・スモーク、たばこ、コーヒー
黒系果実に火を入れたラズベリーやチェリーのような甘いニュアンスも感じられます。
さらにスパイスやスモーク、コーヒーの香りがワインのスタイルによって重なります。
・やや高めのボディで豊かな果実味
・甘くチャーミングなフレーバー
・やや高いフレッシュな酸味
・豊かで柔らかいタンニン
多くのワインに、豊かな果実味と柔らかい口当たりが感じられます。
上述の通りピノタージュのワインはスタイルが多様です。しかし、ピノタージュのワインの多くはカジュアルで甘やかなフレーバーのフルーティーなスタイルです。
それゆえ、合わせる料理もカジュアルな肉料理がおすすめです。
柔らかい触感とチャーミングなフレーバーに合わせて肉系ピザやパスタ。
スモーキーな風味とボリューム感に合わせてバーベキュー、焼き肉。
スパイスのニュアンスやほのかな甘みに合わせてカレーや麻婆豆腐、担々麺、チゲなどのスパイシー料理にもよく合います。
特にスモークやスパイスの効いた家庭料理に合わせたいブドウ品種です。
参考
・Wine Grapes: A Complete Guide to 1,368 Vine Varieties, Including Their Origins and Flavours / Jancis Robinson
・日本ソムリエ協会教本 2020