最終更新日:2021/03/09
この記事では、モンテプルチアーノ (Montepulciano)の特徴や生産地、料理との相性など知っているとより楽しめる情報を解説します。
モンテプルチアーノという名前はイタリア・トスカーナ州シエナ県の街の名前から来ていますが、その起源はイタリア中部アブルッツォ州という説が有力です。
モンテプルチアーノ周辺にはサンジョヴェーゼが多く栽培されているため、モンテプルチーアノ種はサンジョヴェーゼと混同されがちですが、DNA解析によって全く別品種であることが証明されています。
モンテプルチアーノの産地はイタリアに集中しており、イタリア国内でサンジョヴェーゼに次いで栽培されているブドウ品種です(2010データ)。
イタリア国内では特にアブルッツォ州やマルケ州を中心としたイタリア中部で多く栽培されています。
モンテプルチアーノ・ダブルッツォ DOCを中心に、モンテプルチアーノ・コッリーネ・テラマーネというDOCGワインもあります。
少しややこしいですが、イタリア・トスカーナ州にヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノというDOCGワインがありますが、このワインのブドウ品種はサンジョヴェーゼであり、このモンテプルチアーノは品種名ではなく地名です。
ブドウの生育は晩熟で暖かい気候を好みます。
ブドウの糖度は上がりやすいのに対し、種の成熟が遅いためタンニンの粗さが出やすい特性もあります。
モンテプルチアーノは果皮が厚く色素成分が多いため、チェラスオーロと呼ばれるロゼワインにも使用されています。
モンテプルチアーノのワインはバランスの良い果実味と収斂性の強いタンニンが多くのワインで感じられます。
濃い色調で紫の色味が強く見られます。
・プラム、ブラックチェリー、ブラックベリー
・ドライイチジク ・オレガノ、タイム
・クローヴ、リコリス ・タール ・スミレ
黒果実やチェリーにドライフルーツのような甘い香りが感じられます。
そこにドライハーブやスパイスに加え、ワインによっては黒を思わせる鉄やタールのようなニュアンスが重なります。
・ミディアムボディで程よい凝縮感
・酸味はやや高め
・タンニンは豊富で収斂性が強い
豊かな果実味の親しみやすさがありながら、酸とタンニンは強めで骨格はしっかり感じられます。
タンニンは滑らかさがありながらも収斂性が強い傾向があります。
イタリアが主産地のモンテプルチアーノにはやはり同郷の料理がよく合います。
モンテプルチアーノの一番の産地であるアブルッツォ州では羊肉がよく食べられるとのこと。
確かにモンテプルチアーノに感じるドライハーブやスパイスのニュアンスは仔羊料理によく合います。濃厚なタイプには猪や鹿などのジビエ料理にも良いでしょう。
また、収斂味の強めのモンテプルチアーノにはサラミや肉質のしっかりした肉料理がよく合います。
さらに、モンテプルチアーノワインの特徴であるフレッシュな酸味はトマトとも好相性です。
ハーブやスパイスの効いた濃厚なトマトソースは間違いない組み合わせです。
まさに中部から南イタリアの料理にぴったりなブドウ品種です。
参考
・Wine Grapes: A Complete Guide to 1,368 Vine Varieties, Including Their Origins and Flavours / Jancis Robinson
・日本ソムリエ協会教本 2020
・Italy’s Native Wine Grape Terroirs/Ian D’Agata