最終更新日:2021/04/05
リュット・レゾネ(Lutte raisonnée )は、「減農薬栽培」とも言われるように、農薬の使用を最小限に抑えた農業アプローチを指します。
ビオロジック農法やビオディナミ農法のように、化学農薬や化学肥料を全く使わない農法ではありません。
リュット・レゾネは、基本的に定期の農薬の散布は行わず、何か問題が起こった時だけ対症療法的に農薬を使用します。
また、特別な気象現象、病害虫の発生時期やライフサイクルなどを正確に把握し、効率的に対処することで減農薬に繋げたり、自然の天敵(捕食者)を使った病害虫予防や、区画の縁や畝間に植物を育てることで虫の避難場所を提供するなど、生物多様性や生態系のコントロールによる病害虫対策も考えます。
このような農薬を最小限に抑え自然環境や生物多様性も考えた農業手法は「サステイナブル農法」とも言われ、リュット・レゾネと類似した概念として捉えられています。
ただし、リュット・レゾネには、明確な定義はなく、農薬の使用量など細かい規定もありません。
あくまでも生産者の自己申告によるものであるため、その取り組み度合いには差があります。そのため、リュット・レゾネという言葉自体が高い信用性を持つわけではありません。
リュット・レゾネは、主にオーガニックに近い農業アプローチを目指しつつも、テロワール上どうしても農薬の使用が避けられない場合や、オーガニックやビオディナミ農法への転換期(有機認証には3年以上の実践が必要)に使われます。
参考
・The Oxford Companion to Wine / Jancis Robinson
・WINE SCIENCE The Application of Science in Winemaking / Jamie Goode