最終更新日:2018/11/06
あなたはワインと頭痛は関係があると思いますか?
「酸化防止剤の添加が少ないワインは頭痛になりにくい」なんて話はよく聞きますよね?
でも実際のところどうなのでしょうか?
この記事では、ワインが頭痛を引き起こす原因と根拠について掘り下げます。
ワインを引き起こす頭痛の原因として最もよく聞くのが亜硫酸です。
亜硫酸とは、二酸化硫黄が水に溶けたもので、酸化防止剤としてワインに添加されています。
亜硫酸は、酸化防止効果以外にも殺菌作用もあるためワインの安定した醸造にとって重要な添加物です。
一方で、体への害は何かと話題になっています。
しかし実際には、亜硫酸は頭痛の原因とはあまり関係がないようです。
まず、ワインに添加された亜硫酸の大部分は、他の化合物と化学反応して、全く別の化合物に代わります(健康的にも無害)。
そして、結合せずに残った亜硫酸も、ワインの熟成中に酸素と結合し無毒の別の物質に変化します。
つまり、私たちがワインを飲むときには、ワイン中の亜硫酸はほぼない状態であるということです。
さらに、亜硫酸は気体として大量に吸い込んだ場合は害がありますが、飲んだ場合にはほぼ害はないとされています。
WHO(世界保健機関)が定める毒性の出ない最大許容量の基準で考えても、40kgの体重の人が1日に100リットルのボトリング直後のワインを飲んでも無害という計算です。
ワインに含まれる亜硫酸と頭痛は関係がないとすると、本当の原因は一体何なのでしょうか?
その要素として考えられる原因を3つ挙げます。
現在の主流の考えでは、その原因は「チラミン」という物質であると言われています。
チラミンは、血管収縮作用があり、さらに血圧上昇、片頭痛の原因物質であることがわかっています。
チラミンは生体内で酵素によって代謝されますが、その度合いには個人差があり、その活性の弱い人はワインを飲むと頭痛になりやすいとされています。
チラミンはワイン醸造のマロラクティック発酵中に乳酸菌によって作られます。
つまり、それを行わない白ワインにはほとんど含まれておらず、チラミンが含まれているのは赤ワインとマロラクティック発酵を行う一部の白ワイン(ロゼワイン、スパークリングワインも)ということになります。
また、マロラクティック発酵に使用される乳酸菌にもチラミンを生成しない種類があるため、最近はチラミンを生成しない乳酸菌を使用したワイン醸造が推奨されています。
ですので、今後はチラミンによる健康被害は大幅に減ると予想できます。
ヒスタミンは、アレルギー疾患の原因となるうえに血管拡張作用があり、それが頭痛を引き起こす場合があります。
ヒスタミンも、チラシン同様にマロラクティック発酵によって生成されるため、それを行わない白ワインにはほとんど含まれていません。
赤ワインを飲むと頭痛になる人は、このヒスタミンに敏感な体質であると考えられます。
ただし、ヒスタミンはワイン中での含有量は低く、その場合の頭痛の原因はチラミンによるものと言えます。
これはワインだから頭痛になったわけでなく、単純にアルコール摂取量が多くて頭痛になったという場合の原因物質です。
「ワインは酸化防止剤が入っているから頭痛になる」という誤解と先入観が広まっていることもあり、飲んだ後の頭痛の原因をワインのせいにしてしまいがちです。
でも、実際は単にお酒の飲みすぎという可能性は大いにあります。
アルコールは肝臓で分解されて「アセトアルデヒド」という物質を発生させます。
このアセトアルデヒドは、血管拡張作用があり、その拡張した血管が神経を圧迫することで頭痛が生じます。
また、基本的にアルコールを摂取すると、血流がよくなり血管が拡張されます。
最後に、上でご紹介した情報をベースに頭痛にならないワインの飲み方をまとめてみました。
●亜硫酸の添加無添加は頭痛に関しては関係がない
●チロシンやヒスタミンに敏感だと感じる場合は、赤ワインや冷涼地域のシャルドネ種の白ワインやシャンパンは控える(もちろん生産者によります)
●単純に飲み過ぎない(アルコールの頭痛対策として、こまめな水分補給)
●血管縮小効果のあるカフェイン、ビタミンB2、マグネシウムを同時に摂取する
ワインは美味しくてついつい飲み過ぎてしまいますが、ぜひ飲み方も参考にしてみてくださいね。