最終更新日:2021/03/09
この記事ではカルメネール (Carmenère)の特徴や生産地、料理との相性など知っているとより楽しめる情報を解説します。
カルメネールは、フランス・ボルドー原産の黒ブドウ品種です。
18世紀初期にはボルドー地方や南西地方で広く栽培されていましたが、あまり土地に馴染まず1870年代フィロキセラ禍などを契機にに他品種に植え替えられました。そのため現在フランスではほとんど栽培されていません。
現在の主産地チリでカルメネールが栽培され始めたのは19世紀半ばです。
カルメネールは、カベルネ・フラン(Cabernet Fran)とグロ・カベルネ(Gros Cabernet)の自然交配で誕生しています。
同じカベルネ・フランを親に持つカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロは片親違いの兄弟です。
それゆえ、これら品種は個性が似ており、かつてはイタリアやカルフォルニアではカベルネ・フランと混同されていたり、チリではメルロと長年間違えられていた歴史もあります。
カルメネールは晩熟のブドウ品種で温暖な気候を好みます。
また、ブドウの成熟度が低いと青いべジタルな香りが出やすい特徴もあります。
それゆえ総じて成熟度は高く色素やタンニン豊かなブドウになります。
カルメネールのワインはほのかなグリーンのニュアンスと凝縮したまろやかな味わいが特徴です。
・ブラックベリー、ブラックチェリー、プラム
・リコリス、カカオ、丁子
・タイム、ローズマリー、ミント、ピーマン
黒系果実の凝縮した香りに甘苦系スパイスやハーブの清涼感が感じられます。
成熟度の低いものはピーマンのようなべジタルな印象が表れやすい特徴があります。
・ヴォリュームと凝縮感のあるリッチな味わい
・酸味は穏やか
・滑らかなで緻密なタンニン
アルコールと凝縮度は高く酸は低めで広がりのある味わいです。
タンニンは豊富ですが触感はとても柔らくまろやかです。
現在世界で栽培されているカルメネールの大半はチリで栽培されています。
19世紀中頃にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなどと共に持ち込まれました。チリはフランスの南西部よりも暖かく乾燥しているためカルメネールは良く成熟します。
実はチリでは当時、カルメネールはメルロとして栽培され両者は混植混同されていました。カルメネールが正確に認識されたのは1990年代後半になってからです。
カルメネールの独特の青臭さが出ないようブドウを十分に成熟させることが多く、多くのワインはヴォリューム感があり濃厚でリッチなスタイルに仕上がります。
また、カベルネ・ソーヴィニヨンなどのボルドー品種とブレンドしたエレガントスタイルのプレミアムワインも増えています。
カルメネールはやや青さを感じるフレーバーと濃厚でまろやかな味わいが特徴なため、グリーンを効かせた肉料理がおすすめです。
例えば、チンジャオロースやトマト煮込み、ローズマリーを効かせたステーキやバーベキューなど。
肉は牛や仔羊など旨味や脂身、風味の強い肉を選ぶとワインに負けずに楽しめます。
カルメネールはカジュアルレンジのワインが多いため、野菜と肉を使った家庭料理に広くおすすめです。
参考
・Wine Grapes: A Complete Guide to 1,368 Vine Varieties, Including Their Origins and Flavours / Jancis Robinson
・日本ソムリエ協会教本 2020