最終更新日:2021/03/09
この記事では、アリゴテ (Aligoté)の特徴や生産地、料理との相性など知っているとより楽しめる情報を解説します。
アリゴテ (Aligoté)は、フランス・ブルゴーニュ地方原産の白ブドウ品種です。
資料としてアリゴテが最初に確認できるのは1780年で、「Plant de Trois」というアリゴテの昔の呼び名が記録されています。
それ以後もアリゴテは長くブルゴーニュの地で栽培されており、19世紀にはムルソーやコルトン・シャルルマーニュの畑にも植えられていました。
しかし、時代とともに高貴なワインを生むシャルドネやピノ・ノワールに取って代わられ、アリゴテは畑が広がる斜面の最上部や最下部に少量植えられる程度となってしまいます。
そんな中でも、1979年には「ブーズロン(Bouzeron)」というコート・ドールの南に続くコート・シャロネーズ地区の村が、唯一村名の付くAOCを取得し、独自の魅力的なアリゴテワインを生産しています。
現在のアリゴテの栽培面積はブルゴーニュ全体の約6%です(2015-19平均)。
DNA鑑定によって、アリゴテは「ピノ(Pinot)」と「グエ・ブラン(Gouais Blanc)」との自然交配によって誕生したとされています。
アリゴテと同じ親を持つ兄弟には、シャルドネ、ガメイ、ミュスカデなどブルゴーニュ原産のブドウ品種があります。
発芽も生育も早い早熟タイプのブドウ品種です。
それゆえ、冷涼なブルゴーニュ地方や東欧諸国で主に栽培されています。
アリゴテのワインは、柑橘を思わせる爽やかな香味が特徴です。
・明るい黄色
・粘性はやや強め
傾向として黄色が強い色調で、樽熟成したものはより濃くなります。
・グレープフルーツ、リンゴ、洋ナシ
・石灰
アリゴテには柑橘やリンゴのような爽やかな香りがありますが、香りの量はそれほど強くありません。
樽熟成由来のスモークや鉱物的なミネラルの香りが感じられることもあります。
・やや軽めのボディながら程よい厚み
・豊かな酸味
・強めの苦味とミネラリーな後味
アルコールはやや低く、柑橘フレーバーのスッキリした味わいです。
しかし同時に、触感に少しクリーミーさがあり、程よい厚みも感じられます。
後半に伸びてくる酸味や苦味、ミネラリーな印象が味わいを引き締めます。
ブドウの成熟度や樽熟成の強弱によって、ボディも強めで膨らみのあるワインもあります。
アリゴテは、フランス・ブルゴーニュ地方や東欧諸国で広く栽培されています。
アリゴテは、フランス国内では原産地であるブルゴーニュ地方を中心に栽培されています。
ブルゴーニュ地方では、北はシャブリからコート・ドールのさらに南の地域まで広い範囲で栽培されています。
多くの生産者がアリゴテを栽培しており、主にカジュアルワインや家飲み用ワインの原料として使われます。
アリゴテ主体のAOCワインには、「ブルゴーニュ アリゴテ(Bourgogne Aligoté)」「ブーズロン(Bouzeron)」などアリゴテ100%の白ワインの他、「クレマン・ド・ブルゴーニュ(Crémant de Bourgogne)」というスパークリングワインでも多く使われます。
特にブーズロンは、アリゴテワインの代表的な存在で、収量も45hl/hとブルゴーニュアリゴテ(60hl/h)よりも厳しく制限され、品質も高く評価されています。
アリゴテは、意外にも東欧諸国で広く栽培されています。
ウクライナ、モルドバ、ルーマニアなどはアリゴテの栽培面積でフランスを大きく上回ります。
なかなかこれらの国のワインは日本に入って来ませんが、カジュアルワインの原料や甘口ワインのブレンドとしても使われているようです。
アリゴテは、ニュートラルな香りで豊かな酸味のスッキリ系のワインを生みます。
それほど個性の強い品種ではないため、料理にも馴染みやすいブドウ品種です。
シャルドネほどコクはないけど、軽すぎないスタイルが前菜系の多くの料理を広く受け止めます。
野菜や魚介を使った軽めの前菜はもちろん、天ぷらやフライにも爽やかな酸味とミネラリーな香味が調和します。
また、ブルゴーニュ地方では、「ジャンボン・ペルシエ」というハムとパセリのゼリー寄せ料理や「キール」という白ワインにカシスリキュールを加えたカクテルにもアリゴテが使われていたとも言われています。
参考
・Wine Grapes: A Complete Guide to 1,368 Vine Varieties, Including Their Origins and Flavours / Jancis Robinson
・日本ソムリエ協会教本 2020
・Key figures for the Bourgogne wine region/ブルゴーニュワイン委員会