最終更新日:2021/03/09
この記事では、ツヴァイゲルト (Zweigelt)の特徴や生産地、料理との相性など知っているとより楽しめる情報を解説します。
ツヴァイゲルトは、1922年オーストリアのクロスターノイブルク栽培醸造学校のフリードリッヒ・ツヴァイゲルト教授によって開発されました。
ブラウフレンキッシュ(Blaufränkisch)とザンクト・ラウレント(Saint-Laurent)の交配によって造られ、開発当時はロートブルガー(Rotburger)と呼ばれていました。後に開発者の名前からツヴァイゲルトと改められました。
チェコやスロヴァキア、日本ではツヴァイゲルトレーベ(Zweigeltrebe)とも呼ばれます。
早熟で耐寒性に優れたブドウ品種で主に冷涼な産地で栽培されています。
多収性のためブドウの質を保つには収量制限が必要になります。
ツヴァイゲルトのワインは軽やかでスリムなタイプから凝縮感があり重厚なタイプまで幅がありますが、平均的に以下のような特徴があります。
・紫を帯びた鮮やかな色味
・明るい色調
ツヴァンゲルトのワインは淡めの色調で色味には紫が強めに表れます。
・チェリー、ラズベリー、ブラックブラックベリー
・バラ、スミレ ・ローリエ
・黒胡椒、クローヴ、リコリス
フルーツはフレッシュな赤果実から凝縮した黒果実まで幅があります。
共通してペッパー系スパイスが感じられ、さらに樽熟成のものはよりスパイスの印象が強くなります。
・軽めのボディと凝縮感
・酸味は中程度
・滑らかなタンニン
凝縮感はそれほど高くなく、軽やかで優しい味わいのワインが多い傾向があります。
酸味やタンニンは平均的に穏やかですが、成熟度が低いものは収斂味が強めで引き締まった味わいになります。
ツヴァイゲルトの生産量は、オーストリアをはじめハンガリー、チェコで比較的多く栽培されています。さらに日本でも北海道を中心に生産されています。
オーストリアはツヴァイゲルトの原産地で国内で最も多く生産されている黒ブドウ品種です。
特にニーダーエスタライヒ州北部やブルゲンラント州で積極的に栽培されています。
オーストリアのDOC(原産地呼称)ワインには、ブルゲンラント州のノイジードラーゼー(Neusiedlersee)とロザリア(Rosalia)があります。
ワインのスタイルは生産者やテロワールによって大きく異なり凝縮度が高く小樽熟成したようなふくよかなタイプから軽快でスリムなタイプまで様々です。
日本でもツヴァイゲルトが栽培されており、そのうちの大半を北海道が占めています(225トン中 195トンが北海道で生産/平成30年度調査分)。
ツヴァイゲルトの生産量は国内のワイン原料用ブドウ全体の1.1%とわずかですが、北海道では2番目に多く栽培されている黒ブドウ品種です。
ワインのスタイルは全体的にオーストリア産よりもコンパクトで引き締まった印象のものが多く見られます。
ツヴァイゲルトのワインは全体的にライトなスタイルが多いため、前菜系料理を中心に幅広く合わせられます。
ツヴァイゲルトのスパイシーな香りに合わせてスパイスやハーブを練り込んだサラミやソーセージ。
軽やかで優しい味わいに合わせてロールキャベツやミートローフなど鶏や豚挽肉を使った料理もおすすめです。
ツヴァイゲルトは日本でも栽培されいるように照り焼きのような和風の味付けや中華料理にもよく合います。
参考
・日本ソムリエ協会教本 2020
・Wine Grapes: A Complete Guide to 1,368 Vine Varieties, Including Their Origins and Flavours / Jancis Robinson
・国内製造ワインの概況(平成30年度調査分)/国税庁