最終更新日:2019/10/16
ワインショップのポップやワイン雑誌などで「ミネラル」という言葉をよく目にします。
ワインをあまり飲んだことがない人にとって、ミネラル感やミネラル香と言われてもピンと来ませんし、実際飲んでみてもその感覚はつかみにくいかもしれません。
でも、ワインに飲みなれてくると確かにミネラルと言われる要素を感じられるようになります。
この記事では、ワインで言うミネラルとはどのような要素なのか、具体的に解説します。
ミネラルとは、日本語で無機質、灰分とも言われ、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガンなどがあります。
どれも基本的に無味無臭で、口に含むとちょっと苦いですよね。
ミネラルは、石や岩、金属など硬いイメージもあります。
ワインテイスティングで言うミネラルも、まさにこのような感覚的なニュアンスのことを指します。
それでは、より具体的にミネラルとはどんな香りや味わいのことを言うのか見ていきましょう。
まずは香りです。
一般的にミネラル香として括られる香りの要素には次のような香りがあります。
砕いた岩、濡れた石、石灰、チョーク、火打石、擦ったマッチ、鉛筆の芯、ゴム、土
どの香りも繊細でわかりにくいですが、イメージとしてはワインの香りを嗅いだ時、鼻腔をくすぐるような粉っぽい感覚です。
川床に立った時、運動会の準備で校庭に石灰のラインを引いている時に感じる香りなど、場面を想像すると何となくイメージがわきませんか?
鼻で感じるミネラルの次は、口の中で感じるミネラルについて見ていきます。
ミネラル感と言う場合、どちらかと言うとワインを口に含んだ時に感じるミネラルの印象を指すことの方が多いです。
例えば、次のようなニュアンスです。
川の小石を口に含んだイメージ
水道の蛇口から水をゴクゴク飲むときに感じる金属味や塩味
血や鉄の印象(赤ワインの場合)
微妙な塩味や苦味ですが、旨味に似た感覚と表現する人も
とにかく、味わいと言えないレベルのとても繊細な感覚です。
ですので、ミネラル感とはテクスチャー(触感)であると主張する人も多くいます。
上に挙げた例のように、飲んだ後に口の中を引き締めるような硬い感覚です。
ミネラルを感じるワインの多くは白ワインです。
特に冷涼な産地で造られる果実味が穏やかで酸味の強いワインに多く表れます。
木樽の香りも効かせすぎず、ステンレスタンクでクリアに還元的に醸造したワインに特にミネラルを感じます。
例えば次のようなワインが代表的です。
シャブリ(ブルゴーニュの冷涼地域のシャルドネ)
ドイツやフランス・アルザス地方のリースリング
サンセール、プイィ・ヒュメ(フランス・ロワール地方のソーヴィニヨン・ブラン)
このようにワインで言うミネラルは、かなり繊細かつ曖昧な表現です。
はっきりした定義もなく、聞き手にも伝わりにくい言葉です。
ですので、あえてミネラルという言葉を使わないソムリエやワインテイスターもいます。
また、ワインのミネラル感は何が原因で生じるのかもはっきりしていません。
かつては土壌のミネラル分がワインに移るとよく言われていましたが、現在は科学的に否定されています。
とにかくワインに感じるミネラルに関しては、いまだに分からないことが多いのが実情です。
とはいえ、ワインにミネラルのニュアンスがあるのはもちろん、そのミネラル感は、ワインをよりバランスよく、よりエレガントに仕上げる重要な要素であるということはワインに携わる誰もが認める事実です。
評価の高いワインの造り手は、そのミネラル感を上手にワインに表現します。
ワインのひとつの味わい方として、ぜひあなたもミネラル感をワインから感じとってみてください。