最終更新日:2019/10/22
ブルゴーニュのワインに興味をもって生産者の情報を調べたりしていると「ドメーヌ」や「ネゴシアン」さらには、「マイクロ・ネゴシアン」なんて言葉も出てきています。
一体これらの言葉は何を意味しているのか、その違いとは何でしょうか?
この記事では、ブルゴーニュワインを理解する上で欠かせない「ドメーヌ」「ネゴシアン」「マイクロ・ネゴシアン」についてご説明します。
「ドメーヌ(Domaine)」とは、フランス語で「所有地」を意味します。
ブドウ畑を所有し、その畑から栽培、醸造、熟成、出荷までを一貫して行うブドウ園兼醸造所です。基本的にブルゴーニュの生産者を指す言葉として使われます。
多くのドメーヌは、何代も続く家族経営の生産者です。
上記の通り、ドメーヌは、畑を所有し、ブドウの栽培からワインの醸造、熟成、出荷までを一貫して行うブドウ園兼ワイン醸造所です。
一方で、ネゴシアン(Négociant)とは、自社畑をもたず契約農家からブドウを購入しワインを醸造したり、他の生産者からワインを購入し、それを自社商品として販売する生産者のことを言います。
ただし、現在のネゴシアンのあり方も多様化しています。
例えば、同じネゴシアンでも、「ネゴシアン・エルヴール」「ネゴシアン・ヴィニフィカトゥール」という言葉があります。
かつてのように瓶詰されたワインを購入するのではなく、ワインを買うにしても樽の状態で購入し自社でブレンドや熟成を行うネゴシアンです。エルヴールとは、フランス語で「飼育者」を意味し、ワインの製造から関わるネゴシアンであることがわかります。
ヴィニフィカトゥールとは、醸造者を意味します。その名の通り、契約農家からブドウを購入し、醸造の段階からワイン造りを行います。しかも、この場合、畑の管理も自社畑のごとく行います。契約農家に栽培チームを派遣し、栽培の指導はもちろん、畑の管理全般、収穫までをもやるネゴシアンもいます。このように、ワインの原料となるブドウに対する管理も徹底しているネゴシアンを「ヴィニフィカトゥール」と呼ぶ場合が多いです。
また、ドメーヌ兼ネゴシアンも多くいます。ドメーヌとしての生産を主としながらも、自社畑の不足を補うためにブドウを購入し、ネゴシアンのエチケットを貼って出荷する生産者。ネゴシアン業を主としながら、自社畑も持っている生産者など。
さらに近年増加しているのが、「マイクロ・ネゴシアン(ミクロ・ネゴス)」と呼ばれる生産者達です。
その言葉の通り、小規模なネゴシアンを意味します。ブドウ栽培農家と契約し、少量のワインを造ります。
上で述べたように、マイクロ・ネゴシアンもスタイルは多様です。契約畑に頻繁に出向き栽培から手掛けるネゴシアンや、厳選した少量のブドウや果汁を購入し小さなガレージでワイン造りを行うネゴシアンなど。
マイクロ・ネゴシアンが増えている背景には、地価の高騰があります。
高額な畑を購入する財力はないけどブルゴーニュでのワイン造りに情熱を燃やしたい人たちにとって、栽培農家からブドウを少量購入してワインを造るスタイルは、初期投資が少なくリスクを低減できる最も都合の良いスタイルです。
それゆえ、海外からの移住者が多いのもマイクロ・ネゴシアンの特徴です。
以上見てきたように、ブルゴーニュの生産者の形態は多様化しています。
ドメーヌ兼ネゴシアンの生産者も多くいます。
単に「ドメーヌ」や「ネゴシアン」といっても、規模やスタイルも異なり、使われ方も結構あいまいです。
また、ワインの品質に関しても変化してきています。かつてはドメーヌの方が個性的で高品質、ネゴシアンものは個性がなくドメーヌものに劣るとみなされていました。
しかし、現在は最新の醸造設備に加え、畑の管理からこだわりをもつネゴシアンも多く、品質はこれまで以上に見直されてきています。一概にどちらが上とは言い切れません。
私たちは、ドメーヌもの、ネゴシアンものという先入観を捨てて、シンプルに生産者のワインに対する情熱と品質で評価したいですね。